理念
“重い障害があっても、地域の中であたりまえに暮らす”
障害のある人が、必要な支援を受けながら、住みなれた地域(まち)で、当たり前に暮らしていける社会、すべての命が大切にされる社会こそ、真に豊かな社会です。こんな社会を目指していくことを基本理念とします。
ご挨拶
理事長
古川末子
福祉制度が措置の時代であった1985年頃、京都市立呉竹養護学校に子どもを通わせている親たちが集まり、始まった活動でした。
遠く離れた入所施設で一生を終える生き方ではなく、重い障害があっても地域で当たりまえの暮らしを、願ったものです。
措置制度から、ノーマライゼーション理念の広がりと共に社会福祉基礎構造改革を経て支援費制度・・現在の総合福祉法へ、障害者を取り巻く環境は、目まぐるしく変化しました。
しかし、親たちの思いは、そのまま法人理念として『どんな重い障害があっても地域の中で当たり前に暮らす』と掲げています。今では、福祉に携わる人が誰もが使う言葉となりました。
今日まで、多くの人に支えて貰いながら取り組んだ活動の様子が、『えのきの親の30年』ウインかもがわ出版、2020年=として出版しています。よろしければ、ご一読ください。
当初、いっしょに活動をした子ども(大人)たちも、今では、えのき会職員の支援を受けながら、親元から独立してグループホームで暮らし、すでに10年以上の歳月が流れました。現在、法人が提供するさまざまな福祉サービスを利用しながら、結構快適な暮らしを送っています(笑)
えのきを利用されている人の中にも、将来、グループホームで暮らしたい、ショートステイを利用したい、シェアハウスって何?というご家族も多いと思います。できることなら、その思いを全て叶えられる法人でありたいと思いますが、国の福祉施策のスタンスが安定しないなか、3年毎の制度の見直しや報酬の改定(切下げ)等があることが、次に進めない大きな障壁にもなっています。障害のある人やそのご家族、支援を提供する法人、事業所も、常に将来への不安を抱えたままとなっていることが、福祉の人材が集まらない一つの原因でもあると言えます。ゆるぎない制度の下で、安定した支援が継続できるように、国にも大胆な見直しを切に願うのみです。
そんな中でも、えのき会は、2021年4月より新しくシェアハウスの事業が始まりました。
以前より少しだけですが成長したえのき会として、「地域の人たちに何ができるか」。
これに応えていく時が来ています。
社会福祉法人としての役割が、より広く求められている昨今、当法人の理念を、より多くの人に届けるためにも、障害のある人たちだけでなく、生き辛さや困難を抱えた人たちに、『心地よい居場所』の提供ができればとの思いからです。
住み慣れた地域に何より安心できる居場所の提供は、理念でもある「地域の中で当りまえに暮らす」の意味を、より広く深く掘り下げ、人と人を繋げていくことになっていきます。
これからも、誰もが暮らし易い「地域の居場所の一つ」を目指していきたいと思います。